インターネット時代到来編に引き続き”ITバブル崩壊編:我々はいつも不確実性の世の中に生きている、その時どう考えたか?”というお話です。
IT用語に馴染みの無い方もいらっしゃるかと思いますのでポイントだけお伝えすると
- 転職直後にITバブルが崩壊
- 退路を断って転職したので前に進むしかない
- 与えられた職務を遂行しながら、他の業務のスキルを習得(常に先を見る)
- そうすると、思わぬところからチャンスと遭遇する
- さらに積み重ねるとキャリアプランにつながる
- ピンチの状況でもチャンスを掴むことは出来る
- 学生時代や前職で学んだことが繋がっている
というお話です。2023年現在米国金利が上昇し、一部の銀行倒産など状況は似ているところもあるかと思います。何かヒントとなれば幸いです。
日本にいながらの海外にいるような第2の学生生活
転職先はデータセンターでのサーバーやネットワーク機器の保守監視業務でした。現在はクラウドサービスという呼び名が主流ですが、実は様々な機器やWebサービス上で提供されています。
転職直後の2000年、私は日々胸躍る毎日を過ごしていました。勤務先のドアを開けるとまさに別世界、様々な国籍の社員と日本語、英語を交えながらの会話。社内文書や使用しているPCも英語版。最初の仕事は決して面白い業務とは言えませんでしたがIT スキル習得に集中出来る夜勤。私にとっては海外の大学で夜間研究をする第2の大学生活のような感覚でした。しかも今度は学費を払うのではなく給与をもらっている。
多様なメンバーとの出会い
電話業界に戻ることはないと決め、全く経験値のない業界へ飛び込んだ私には、いかに早くITスキルを身につけるかが重要でした。周りには私よりITスキルを学んだ年齢もバラバラな同期が多数おり、早く追いつき、追い越したいという気持ちもありました。よく周りを見ると
-ITスキル高、英語スキル中、日本語ネイティブ
-ITスキル高、英語スキルネイティブ、日本語スキル中
-ITスキル低、英語スキル中、日本語ネイティブ
-ITスキル低、英語スキルネイティブ、日本語中
など、様々な人々がいました。この出会いが後の私のキャリアへの考え方に大きな影響を与えました。
”英語を学ぶ”のではなく”英語でITスキルとコミュニケーション力を学ぶ”
ITスキル低、英語スキル中、日本語ネイティブの私がどう効率よく習得していくか?
入社まで深く考えていませんでしたが、結局”英語でITスキルとコミュニケーション力を学ぶ”事が全てのスキルを同時に引き上げてくれました。
当たり前のことなのですが、”1日24時間はすべての人に同様に与えられている。今の生活パターンは非常に効率的かも!”と考えるようになりました。
ここ数年STEAM教育現場などで”英語でXXを学ぶ”とよく聞くようになりましたね。
そしてITバブル崩壊
転職から半年後、変化が訪れました。ITバブル崩壊です。
-電話サポートをしている外部のパートナー企業さんとの契約解除
-日本語でお客様と話す事が難しいメンバーが少しずつ削減
-3交代勤務のシフト(一日8時間勤務)から2交代勤務(12時間勤務)へ変更
このように人員削減が始まったのです。
これまでの努力が実り始める
転職後の半年間はITスキルが高い技術者の対応をひたすら盗もうとしていました。インプットをし続けていたお陰で徐々にITスキルを習得し、知識だけでなく行動に移せるようになっていたのです。
そして、人員整理により
-日本語でお客様と話す
-英語で社内のメンバーと話す、英語の文章が読める
-ITスキルを持っている
という人員が必要となりました。当時の私はもちろん全ての領域能力が高い訳ではありませんが、新たに採用することもできないので、残っているメンバーで何とか仕事をまわすしか方法がなかったのでしょう。
そして転職後半年で私はMicrosftのWindowsサーバーの障害対応の担当となりました。
困難な状況から独自性が生まれる
Windowsサーバーの担当となった後も、私は他の技術者がどのように対応しているか学びつづけました。そして更に半年後に、今度はWindowsサーバー担当からUnixサーバー担当に代わりました。
そして更にその1年後にはWindows、Unixサーバー両方担当出来るようになっていました。
新規お客様が増えない中
新規お客様が増えない中、私は会社の先の事よりも、空いた時間でいかにITスキルを身につけるかに集中しました。既存のお客様の障害対応もパターン化してくるので、空いた時間にはスクリプト(Perl、Shell、VB)やWebアプリケーション(ASP, JSP, Jave Servelet)がどのようにサーバー上で構築しデータベースと接続するかも学びました。
そしてデータベースとの出会い
ある時、銀行で基幹システムを担当していたインド人に”データベースは様々な製品があるけどどれから始めたらいいか?”と聞いたところ、”間違いなくOracleからはじめるべきだ!”との回答を得ました。
理由は
-WindowsでもUnix環境でも動く
-機能が充実
-極めれば専門家となれる。
-技術者が明らかに不足している。よって給与も高い
-バージョンアップしながらずっと使われている。
-新たな機能は追加されているが根幹となるリレーショナルデータベースは何も変わらない。
– Oracleをマスターすれば他のデータベース製品も簡単に覚えられる
-年齢を重ねてもずっと仕事がある
との事でした。
頭に描いた、未来図、キャリアプラン
この話を聞いた途端、私の目指すべきキャリアプランが浮かびました。
サーバー関連:Windows, Unix系
データベース系:Oracle, SQL server, MySQL, PostgreSQL
これらをコアとし、更に
社内業務改善:スクリプト関連
お客様とのコミュニケーションを円滑:Microsoft系(ASP, ASP.Net),Unix系(PHP, Java)
これまでカバーできれば30代は十分にやっていける!
会社の未来がどうなるか非常に不安な中、私はやる気がみなぎっていました。自分のITスキルに自信がある人も同じで、”スキルがあればどこでも働ける”と言う人達が何人もおり、刺激をもらいました。
また新卒編で触れた学生時代に学んだUnixやプログラム経験、インターネット時代到来編で学んだWindows環境の学び直しがここで繋がったのです。どこでどうつながるかわからないですね
そして事業撤退
そして転職してから2年半、別の米国のIT企業のサービスとして事業を継続することになりました。しかし、私にとっては2年半給与をもらいながら、英語、ITスキルを鍛え上げた充実した期間となりました。
次回は、買収後の不確実性、その時どう考えたか?です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。