今の私のキャリアの土台は、30年前、バブル崩壊の足音が聞こえる中で下した、ある小さな決断から始まりました。
20代の頃の小さな判断が、その後のキャリアにどこまで影響するのか——当時は想像もしていませんでした。
私が英語に本気で取り組もうと思ったのは、大学4年の頃でした。
当時、日本はバブル崩壊の影響で就職環境が大きく変わり始めており、「これまでの常識が通用しなくなるのではないか」という空気を感じていました。
そんな中で、当時のアメリカ大統領であったビル・クリントンによる市場開放に関する記事を読み、日本もこれから外の世界とより直接的に関わっていくのだと強く感じました。
そのとき初めて、「英語は単なるスキルではなく、これからのキャリアを考える上で必要になるのではないか」と考えるようになりました。
正直なところ確信があったわけではありませんが、「やらないよりはやっておいた方がいい」という感覚で、英語に向き合い始めました。
20代で実際に取り組んだ英語学習
最初に取り組んだのは、NHKのラジオ英会話でした。
毎日少しずつでも英語に触れることを意識し、基礎を作ることを優先しました。
その後、英会話学校にも通い始めましたが、いわゆる高額教材の購入は必要ないと判断し、そこはきっぱり断りました。
また、2年間でのレッスン費用もできるだけ抑えるよう交渉し、その代わりに無料のサロンのような場には時間がある限り顔を出し、できるだけ生の英語に触れる機会を増やしました。
大学に残る道ではなく就職を意識していたため、TOEICや英検も受験しました。結果として英検準1級には合格しましたが、TOEICは600点台にとどまり、当時としては決して高いスコアではありませんでした。
英語がキャリアに影響した瞬間
社会人になってからも英語学習は継続しましたが、より実践的な環境を求めて外資系企業に転職しました。
ここで初めて、英語が「使うもの」としての意味を持つようになりました。
会議、メール、資料作成など、日常的に英語が必要となる環境の中で、
・言いたいことがすぐに出てこない
・ニュアンスの違いに悩む
・議論のスピードについていけない
といった壁に何度も直面しました。
ただ、20代の頃に完全ではないながらも英語に触れていたことで、全くゼロからのスタートではなかったことは大きかったと感じています。
結果として、このときの経験が現在の外資系キャリアへとつながっています。
やっておいて良かったこと
振り返ってみて良かったと感じるのは、「完璧を目指さずに続けたこと」です。
当時は効率的な学習法というよりも、「とにかく英語に触れ続ける」ことを意識していました。
社会人になってからも英語を楽しむ工夫もしていました。例えば、映画を英語音声・英語字幕で観るなど、興味のあるものと結びつけることで、無理なく続けることができました。
私の場合は、ハリー・ポッターやディズニー作品、スター・トレックなどを繰り返し観ていました。特に学生時代に観たスター・トレックは非常に印象に残っています。
こうした積み重ねが、結果的に英語学習を継続する上での心理的なハードルを下げてくれたと感じています。
正直、やらなくてもよかったこと
一方で、今振り返ると過度に意識しなくてもよかったと感じることもあります。
例えば、短期間で成果を出そうとすることです。
TOEICなどのスコアは一つの指標ではありますが、それ自体が目的になると、実際の仕事で使う力とは少しずれてしまうことがあります。
また、完璧に理解しようとするあまり、目標点数に到達しないとストレスも溜まります。
英語はある程度「不完全なまま使う」ことが前提になる場面も多く、その中で徐々に慣れていく方が実践的だと感じています。
私は50代になってある程度経験を積んだ後、改めてチャレンジしたいという思いから英検1級を取得しました。
振り返ると、実務での経験と資格の学習が相互に補完し合う形になり、結果として理解が深まったと感じています。
今の自分ならどう考えるか
では、20代で英語学習は本当に必要だったのか。
結論としては、「やっておいて良かった」と感じています。
ただしそれは、
・高いスコアを取ること
・完璧に話せるようになること
ではなく、
・英語に触れ続けていたこと
・実際に使う環境に入る準備ができていたこと
に価値があったと考えています。
今振り返ると、当時の判断は、不確実な時代における一つの意思決定だったとも言えます。
まとめ
英語は「伸ばす」ことよりも、「関わり続ける」ことの方が重要だと感じています。
20代で英語に触れていたことが、その後のキャリアの選択肢を広げてくれたのは間違いありません。
英語はあくまで手段ですが、その手段があることで見える世界は確実に変わります。
これから英語を学ぶ方にとっても、大きな目標を掲げるよりは、日常の中で少しずつ続けていくことが、長く活きる力になるのではないでしょうか。
だからこそ、20代の「なんとなくの判断」も、後から振り返ると意味を持つことがあるのだと思います。
私自身のキャリアを振り返りながら、
不確実な時代にどのように意思決定してきたのかを
シリーズとしてまとめています。
【意思決定シリーズ】
まとめ記事:VUCA時代とは?不確実な時代を生き抜く意思決定の作法|外資系30年の荒波で磨いた自分軸
【実体験】
